オルガンのアイディアは、パンフルートや中国や日本の笙(しょう)の様に、2本以上の笛を組立てて複数の音が出せる楽器から出来てきたものと思われますが、およそ2千年前、古代ギリシャ・ローマ時代に作り出されたヒュドラウリス(水圧オルガン)が、オルガンの始まりとされています。
オルガンのアイディアは、パンフルートや中国や日本の笙(しょう)の様に、2本以上の笛を組立てて複数の音が出せる楽器から出来てきたものと思われますが、およそ2千年前、古代ギリシャ・ローマ時代に作り出されたヒュドラウリス(水圧オルガン)が、オルガンの始まりとされています。
その後、色々な時代、色々な国で、忘れ去られたり、また復興したり、新しい技術が取り入れられたり、様々な運命をたどっていきますが、(16世紀の宗教改革が最も顕著でした)バロック時代(約300年前)のバッハにおいて、一つの完成を見ることになります。
日本においては、約400年ほど前、キリシタン活動に伴ってポルトガルやスペインから、小型のオルガンが持ち込まれているようですが、キリシタン禁制によりそれらのオルガンは姿を消してしまい、遺物としてもその残存はまったく認められていません。
日本の最初として推定されるオルガンは、明治18年(約100年前)に東京築地聖三一教会に設置されたものとされており、現在では約700台のオルガンが日本に設置されているようです。
オルガンは、一台一台形や大きさから内部の構造にいたるまで、それぞれ異なっていることが大きな特徴の一つです。これは、各地域で長い発達の歴史を経てきたことにもよりますが、原則として使われる場所に合わせて作られているため、同じオルガンが無いわけです。
練習用の小型オルガンは、時として数台まとめて作られることもありますが、やはり設置される場所に合わせて、音量の調整や調律などをするため、結果として異なったオルガンになります。
オルガンに最低必要な要素として、パイプ、ふいご、鍵盤の3つが上げられます。
パイプは大きく分けてフルーパイプ(リコーダーと同じような発音方式)、リードパイプ(クラリネットと同じような発音方式)の2種類があり、それぞれにバラエティーあふれる種類があります。
材質は加工のしやすさから鉛や錫、またその合金が多く使われ、大きなパイプには銅や亜鉛が使われることもあります。また、ほとんどのオルガンにはスブバスやホルツゲダクトなど木製のパイプも使われており、変わったところでは竹のパイプを持つオルガンもあります。
現在では電動送風機がほとんどですが、昔は手動式ふいごを使っていました。大型オルガンでは数人の人夫を使って操作していましたが、いずれにしてもパイプを最も美しい音色で鳴らすためには適宜な風量が非常に重要で、そのために風圧を調整する様々な技術が使われています。
ふいごとふいご職人
(14世紀に作られたオルガンのふいご室)
たくさんのパイプに、演奏者の意志通りにふいごからの空気を送るのが、鍵盤で代表される制御機構です。
1. ウィンドチェスト
オルガンには絶対に欠かせない大切な部分で、パイプが立ち並ぶパイプボード、音色を選ぶスライダー、音ごとに仕切られた溝、アクションの末端と成るバルブ、風箱から成ります。
2. 風導管
大きなオルガンでは、鍵盤の数に応じてウィンドチェストがありますが、ふいごや調圧箱から各ウインドチェストに空気を導くのが風導管です。風導管の断面積は、パイプへの空気の供給に微妙に影響します。
3. 鍵盤
最近のオルガンでは、鍵盤の音域は次のような構成になっています。
オルガンは小型でも2段の手鍵盤と足鍵盤を持つものが多く、大型になると4~7段もの手鍵盤を備えています。
もともとは、演奏を目的とした(音量も大きい)ハウプトヴェルクと伴奏用のポジティフオルガンに別れていましたが、設置場所も別々で、オルガニストが礼拝中に移動して使われていました。やがてハウプトヴェルクの下に(ローラーボードなどの発明により)ポジティフオルガンの鍵盤を置くようになり、様々な音色のパイプ群(稼働式のフタが付いたスウェルなど)を鍵盤に分けることにより、鍵盤交代によるエコー効果、2段の手鍵盤と足鍵盤を同時に使うトリオ奏法など、オルガン音楽の一つの特徴といえる奏法が生まれました。
この他にカプラーと呼ばれる装置があり、複数の手鍵盤を同時に鳴らしたり手鍵盤を足鍵盤に連結することが出来ます。
4. その他
鍵盤から直接バルブを動かすメカニカルアクションの他に電気アクション、風圧式アクション等があります。
また、いくつものストップの組み合わせを記憶した電気式のフリーコンビネーションや鍵盤などの制御機構とは違いますが、風量を周期的に変化させたトレモロなどがあります。
1992年8月に行なわれた設置工事のレポートです。普段見ることの出来ないオルガンの裏側が良く解ると思います。
1. オランダから梱包されたオルガンが届きました。
2. 荷解きされたパイプの一部。
3. 荷解きされたコンソール。
4. コンソールの裏側、トラッカーやローラボードが見えます。
5. オルガンケースの組み立て。
6. ウィンドチェストの上にパイプを乗せてきます。
7. 調律・整音/音程や音量などを調整します。
8. オルガンの完成です。